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住宅の積載荷重(建築基準法施行令第85条)

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建築基準法施行令第85条が定める積載荷重を、住宅とその周辺の室を中心にまとめました。表の3つの欄の使い分け、柱・基礎の低減(第2項)、屋根と積雪の扱い、木造2階建て住宅で梁・壁の線にかかる長期荷重の計算例を載せています。

2026年10月18日更新

第85条が定めていること

建築基準法施行令は、構造計算で考える荷重と外力として、固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風圧力・地震力を挙げています(第83条)。積載荷重は人や家具、物品など、建物の使い方によって床にかかる荷重で、第85条に定めがあります。

原則は「建築物の実況に応じて計算」することです(第85条第1項本文)。ただし、表に挙げられた室の床については、表の数値に床面積を掛けて計算してよいとされています(同項ただし書)。表の単位は「一平方メートルにつきニュートン」、つまりN/m²です(1,800 N/m² = 1.8 kN/m²)。

表には同じ室について3つの欄があり、何を計算するかで使う欄が変わります。

  • (い)床設計用:床の構造計算をする場合。床板、根太、小梁など、床そのものを設計するときに使います。3つの欄で最も大きい値です。
  • (ろ)大梁・柱・基礎用:大ばり、柱又は基礎の構造計算をする場合。広い範囲の床を受ける部材では、全面が同時に満載になる可能性が低いため、(い)より小さい値になっています。
  • (は)地震力用:地震力を計算する場合。地震力を求めるための建物重量に加える積載荷重で、最も小さい値です。

住宅とその周辺の室の積載荷重(第85条第1項の表)

建築基準法施行令第85条第1項の表(単位:N/m²)
表の番号室の種類床設計用(い)大梁・柱・基礎用(ろ)地震力用(は)
(一)住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室又は病室1,8001,300600
(二)事務室2,9001,800800
(三)教室2,3002,1001,100
(四)百貨店又は店舗の売場2,9002,4001,300
(五)劇場、映画館、集会場などの客席又は集会室(固定席の場合)2,9002,6001,600
(五)同上(その他の場合)3,5003,2002,100
(六)自動車車庫及び自動車通路5,4003,9002,000
(七)廊下、玄関又は階段((三)から(五)の室に連絡するもの)3,5003,2002,100
(七)廊下、玄関又は階段(それ以外)表に数値なし表に数値なし表に数値なし
(八)屋上広場又はバルコニー1,8001,300600
(八)屋上広場又はバルコニー(学校又は百貨店の建築物)2,9002,4001,300
第3項倉庫業を営む倉庫の床実況に応じて計算、ただし3,900以上——

(七)と(八)の行は、表の中では数値ではなく「(五)の『その他の場合』の数値による」「(一)の数値による。ただし、学校又は百貨店の用途に供する建築物にあつては、(四)の数値による」という文で定められています。上の表はその数値を書き出したものです。住宅の廊下・玄関・階段のように(三)から(五)の室に連絡しないものは表に数値がなく、第1項本文により実況に応じて計算します。第3項の倉庫は表の行ではなく、床の積載荷重の下限を一つだけ定めたものです。

柱・基礎の低減(第85条第2項)

柱又は基礎の垂直荷重による圧縮力を計算する場合は、(ろ)欄の数値を、その柱や基礎が支える床の数に応じて次の係数を掛けた値まで減らすことができます。多くの階の床がすべて同時に満載になることは考えにくい、という考え方です。

低減できるのは柱と基礎の圧縮力だけで、大梁や床には使えません。また、表の(五)の室(劇場や集会場の客席・集会室)の床の積載荷重には適用されません(第2項ただし書)。

建築基準法施行令第85条第2項の表
支える床の数(ろ)欄の数値に掛ける係数
20.95
30.9
40.85
50.8
60.75
70.7
80.65
9以上0.6

支える床が1つの柱には低減の係数がありません。たとえば2階建ての1階の柱で、上に2階の床しかないものは(ろ)欄の値をそのまま使います。

屋根と積雪荷重(第86条)

第85条の表には屋根の行がありません。人が出る屋上広場は(八)の行によりますが、それ以外の屋根の積載荷重は実況に応じて考えます。

雪は積載荷重ではなく積雪荷重として第86条で別に定められています。積雪荷重は、積雪の単位荷重×屋根の水平投影面積×その地方の垂直積雪量で計算します。単位荷重は積雪量1 cmごとに20 N/m²以上で、多雪区域では特定行政庁が別の数値を定めることができます。垂直積雪量は特定行政庁が規則で定める数値なので、建設地の値を確認してください。屋根勾配に応じた屋根形状係数μb = √cos(1.5β)(勾配60度以下、雪止めがない場合)も第86条第4項にあります。

計算例:木造2階建て住宅の梁・壁の線にかかる長期荷重

木造2階建て住宅で、1階の間仕切り壁の上に2階の床梁を受ける線があるとします。2階の床梁はこの線の両側にそれぞれ3.64 m架かり、どちらも単純梁とします。この線が受ける床の幅(負担幅)は 3.64 / 2 + 3.64 / 2 = 3.64 m です。小屋梁は外壁から外壁に架かっていて、屋根の荷重はこの線にかからないものとします。1階の階高(壁の高さ)は2.7 mとします。

長期に生ずる力は、第82条第2号の表で「常時」G+Pです(Gは第84条の固定荷重、Pは第85条の積載荷重によって生ずる力)。この線は大梁と、それを受ける壁・柱なので、積載荷重は(い)欄ではなく(ろ)欄の1,300 N/m²(表の(一)住宅の居室)を使います。

以下の固定荷重は仮定です。第84条の表の数値を使っていますが、どの仕様を選ぶかは仮定であり、実際の床・天井・壁の構成に合わせて計算し直してください。2階の床:木造の床・板張(根太を含む)150 N/m²、床ばり(張り間4 m以下)100 N/m²、1階の天井:合板張など 150 N/m²、合計 400 N/m²。1階の壁:木造の壁の軸組 150 N/m²、両面の仕上げ(繊維板張など)100 N/m² × 2、合計 350 N/m²(壁面につき)。

壁の線1 mあたりの長期荷重(単位:N/m)
項目計算固定荷重 G積載荷重 P
2階の床(梁・壁の線の上端)400 × 3.64;1,300 × 3.641,4564,732
1階の壁の自重350 × 2.7945—
合計(壁の下端)2,4014,732

長期荷重 G+P は、梁・壁の線の上端で 1,456 + 4,732 = 6,188 N/m(約6.2 kN/m)、壁の下端で 2,401 + 4,732 = 7,133 N/m(約7.1 kN/m)です。積載荷重に(い)欄の1,800 N/m²を使うと、上端は 1,456 + 6,552 = 8,008 N/m となり、約29%大きくなります。ただし、この線に荷重を伝える根太や床板そのものを設計するときは(い)欄の1,800 N/m²を使います。この1階の壁・柱が支える床は2階の床の1つだけなので、第85条第2項の低減は使えません。屋根の荷重もこの線にかかる場合は屋根の固定荷重を G に加えます。一般の地域では長期の G+P に積雪は入りませんが、短期の積雪時 G+P+S は別に検討します。多雪区域では長期の積雪時 G+P+0.7S も検討します(第82条第2号の表)。

よくある間違い

  • 根太や床板の設計に(ろ)欄の1,300 N/m²を使う。床そのものの設計には(い)欄の1,800 N/m²を使います。
  • 大梁・柱・基礎にも(い)欄をそのまま使い、荷重を大きく見積もりすぎる。安全側ではありますが、施行令の表は(ろ)欄を用意しています。
  • 地震力の計算に(い)欄や(ろ)欄を使う。地震力用の建物重量には(は)欄(住宅の居室は600 N/m²)を使います。
  • 第85条第2項の低減を大梁や床に使う、または支える床が1つの柱に使う。低減できるのは柱と基礎の圧縮力で、支える床が2以上のときだけです。
  • 住宅の廊下・玄関・階段にも表の数値があると思い込む。表が数値を示すのは(三)から(五)の室に連絡するものだけで、それ以外は実況に応じて計算します。
  • 学校や百貨店のバルコニーに住宅と同じ1,800 N/m²を使う。これらの建物のバルコニーと屋上広場は(四)の数値(2,900 N/m²)によります。
  • 屋根に第85条の値を探す。表に屋根の行はなく、雪は第86条の積雪荷重として建設地の垂直積雪量から計算します。

自分の図面で計算する

LoadTakedownでは、PDFの図面の上に壁と床をなぞると、各階の壁にかかる荷重を基礎まで集計できます。リージョンで「Japan (Building Standard Law Order Art. 85) · Beta」を選ぶと、この表の積載荷重を使えます。カテゴリの値には床設計用(い)欄の数値が入り、(ろ)欄と(は)欄は各行の注記に表示されるので、大梁・柱・基礎に(ろ)欄を使う場合は値を書き換えてください。アプリの画面は英語です。

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